彼女は確かに言っていた。
そう、私は忘れてしまっていたが、彼女はよくこの言葉を口にしていたような気がする。

彼女と一緒にいた時は、確かにいつも本当に楽しかった。
彼女の話のあまりのおかしさに、高校生の時のように大笑いして、笑いが止まらなくなったこともあった。

みんなでいた時、「マ行(まみむめも)の作家って割とおもしろいと思わない?私好きなんだよね」と私が話した。
その時「分かる気がする。私も好きかも」と、ただ1人うなづいてくれたのは彼女だった。
村上春樹や群ようこの名を私が言い、彼女から宮部みゆきのおすすめを聞いた後。
私は最近知って、愛読していた光野桃の名を挙げた。多分知らないと思ったから。

「最近、光野桃を知ってね。すごいいいんだよー」
「あ、知ってる。素敵だよねぇ」

この時、「彼女すごいかも」と感じた。


実際に、彼女は私の想像を超えるような読書家で、私は全然かなわなかった。
そうして私が諦めた職を、努力の末、勝ち取った。

もっといろんな本の話を彼女から聞いてみたかった。
もっといろんな話をしてみたかった。
もっと、もっと、もっと・・・。

願いは空へと舞い上がり、彼女のところまで届くように。

そして私は心の中に、彼女がもたらした数々の魔法のような楽しい瞬間達をしまった。
いつまでもいつまでも心のどこかできらりと輝く思い出を、いつでも取り出して感じられるように。

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